テキスト復習チェック・民法1

1 契約は、申込みと承諾により意思が合致することで成立するが、成立する時点は、申込みに対する承諾が発信された時である。

1 誤り 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(申込み)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。申込みの意思表示が相手方に到達して効力を生じ、それに対し相手方からの承諾の意思表示が申込者に到達して効力が生じた時に契約は成立する。つまり、契約の成立時点は、承諾の到達時であり、承諾の発信時ではない。


2 売買契約が有効に成立するためには、契約書の作成が必要であるが、代金の支払い、目的物の引渡し及び登記の移転は必要ではない。

2 誤り 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない(諾成契約)。ここにいう法令に特別の定めがある場合に、売買契約は含まれない。すなわち、売買契約は諾成契約である。よって、売買契約が有効に成立するためには、合意のみで足り、契約書の作成は必要ない。代金の支払い、目的物の引渡し及び登記の移転は必要ではない点は、正しい。


3 契約をするかしないか、どのような内容とするかは当事者が自由に決めることができるが、契約の方式については当事者で決めることはできない。

3 誤り 契約をするかしないか、どのような内容にするかのほか、契約の方式についても、原則として当事者が自由に決めることができる(契約自由の原則)。


4 土地の売買契約が成立すると、代金について売主は債権者となり、買主は債務者となる。土地の引渡しについては、売主が債務者となり、買主が債権者となる。

4 正しい 売買契約が成立すると、売主は、債権者として代金の支払いを請求することができる一方、債務者として土地の引渡し及び登記の移転をしなければならない。また、買主は、債務者として代金を支払わなければならない一方、債権者として土地の引渡し及び登記の移転を請求することができる。


5 土地の売買契約において土地の所有権が売主から買主に移転するが、その移転時期は登記を移転した時であり、登記を移転しない限り買主は所有権を取得しない。

5 正しい 売買契約において、売主から買主に所有権という物権(所有権)が移転するのは、特別の合意(特約)がない限り、意思表示の合致により契約が成立した時である。


6 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならず、また、権利の濫用は許されない。

6 正しい 信義則に反する行為や権利の濫用は許されない。


7 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、取り消すことができる。

7 誤り 公序良俗に反する法律行為は、無効となる。


8 権利能力とは、権利義務(債権債務、物権)の帰属主体となりうる資格をいう。

8 正しい 権利義務(債権債務、物権)の帰属主体となりうる資格を権利能力という。


9 人は、生まれてから一定の年齢に達するまでは、権利能力を有しない。

9 誤り 自然人は、出生と同時に権利能力を取得する。


10 株式会社のような法人も権利能力を有するが、大学のサークルや町内会のような法律の規定に基づかずに成立したものは権利能力を有しない。

10 正しい 法人は権利能力を有するが、大学のサークルや町内会のような団体は、いわゆる権利能力なき社団として、権利能力を有しない。


11 自己の行為の法的な結果を認識・判断することのできる能力を意思能力という。

11 正しい 意思能力とは、自己の行為の法的な結果を認識・判断することのできる能力をいう。


12 意思表示をした時に意思能力を有しない者がした法律行為は、取り消して無効とすることができる。

12 誤り 意思表示をした時に意思能力を有しない者(意思無能力者)がした法律行為は、無効である。取り消して無効となるのではない。


13 無効とは、法律効果が初めから発生しないことをいい、取消しとは、いったん有効に成立した法律行為について相手方の承諾を得て、初めにさかのぼって無効にする一方的意思表示をいう。

13 誤り 無効とは、当事者の意図した法律効果が、初めから発生しないことをいう。取消しとは、いったん有効に成立した法律行為を初めにさかのぼって無効にする一方的意思表示をいう。つまり、相手方の承諾は不要である。


14 行為能力とは、自ら単独で完全に有効な法律行為を行うことができる資格をいう。

14 正しい 行為能力とは、自ら単独で完全に有効な法律行為を行うことができる資格をいう。


15 制限行為能力者が単独で行った一定の法律行為は、原則として取り消すことができるが、ここに制限行為能力者とは、未成年者、成年被後見人、被保佐人及び破産者をいう。

15 誤り 制限行為能力者が単独で行った一定の法律行為は、原則として取り消すことができる。制限行為能力者とは、未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人をいい、破産者は該当しない。


16 未成年者以外の制限行為能力者は、家庭裁判所の審判により制限行為能力者となるが、この審判の取消しがなければ、能力を回復しても行為能力者とならない。

16 正しい 成年被後見人、被保佐人、被補助人については、その審判が取消されるまでは、たとえ一時的に判断能力が回復したとしても制限行為能力者として保護される。


17 未成年者とは、18歳未満の者をいうが、父母の同意を得れば、未成年者であっても婚姻をすることができる。

17 誤り 未成年者とは、18歳未満の者をいう。男女共に満18歳になれば婚姻できるが、未成年者は婚姻をすることができない。


18 未成年者の保護者は親権者であるが、親権者がいない等の場合には、未成年後見人が保護者となる。

18 正しい 未成年者の保護者(法定代理人)には、親権者がなり、親権者がいない等の場合には、未成年後見人が付けられる。


19 成年後見人は家庭裁判所が選任するのに対し、未成年後見人は、家庭裁判所が選任するほか、未成年者に対して最後に親権を行う者が遺言で指定することがある。

19 正しい 成年後見人も未成年後見人も、家庭裁判所が選任する。ただ、未成年後見人については、未成年者に対して最後に親権を行う者が、遺言で、指定することができる。


20 未成年者の親権者又は未成年後見人は、未成年者の代理人として未成年者に代わって法律行為をすることができる。

20 正しい 未成年者の親権者又は未成年後見人は、未成年者の法定代理人として法律行為をすることができる。


21 未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為も有効であるが、取り消して無効とすることができる。

21 正しい 未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。つまり、取り消すまでは有効であるが、取り消して無効とすることができる。


22 A及びBの親権者であるCは、ABの利益が相反する行為についても、AB双方を代理する。

22 誤り 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。よって、Cは、Aを代理するのであれば、Bのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。


23 未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った行為で取り消すことができないものは、法定代理人より処分を許された財産の処分だけである。

23 誤り 未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った行為で取り消すことができないものは、法定代理人より処分を許された財産の処分のほか、単に権利を得又は義務を免れる法律行為、営業の許可を受けた場合のその営業のための法律行為がある。


24 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者であっても、家庭裁判所により後見開始の審判を受けるまでは、成年被後見人とならない。

24 正しい 成年被後見人とは、①精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、②家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者をいう。


25 成年被後見人には、家庭裁判所により保護者(法定代理人)として成年後見人が付けられるが、家庭裁判所は、成年後見人を選任するにあたり特に制限はなく、だれでも自由に選任することができる。

25 誤り 成年被後見人には、家庭裁判所により保護者(法定代理人)として成年後見人が付けられる。このとき、家庭裁判所は、①未成年者、②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人も又は補助人、③破産者、④被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族又は⑤行方の知れない者を成年被後見人に選任することはできない。


26 成年後見人は、家庭裁判所の許可を得て、成年被後見人を代理して成年被後見人の財産に関する法律行為を行う。

26 誤り 成年後見人は、成年被後見人を代理して成年被後見人の財産に関する法律行為を行う。このとき、家庭裁判所の許可は不要である。


27 成年被後見人が成年後見人の同意を得ずに行った行為は取り消すことができるが、同意を得て行った行為は取り消すことができない。

27 誤り 成年被後見人が行った法律行為は、成年後見人の同意を得て行った場合でも取り消すことができる。


28 成年後見人は、成年被後見人を代理して、成年被後見人が居住する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定等の処分をするにあたっては、家庭裁判所の許可又は後見監督人の同意を得なければならない。

28 誤り 成年後見人が、成年被後見人を代理して、成年被後見人が居住する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定等の処分をする場合は、家庭裁判所の許可を得なければならない。しかし、後見監督人の同意は不要である。


29 日用品の購入その他日常生活に関する行為であっても、これを成年被後見人が成年後見人の同意を得ずに行ったときは、取り消すことができる。

29 誤り 成年被後見人が行った日用品の購入その他日常生活に関する行為は、取り消すことができない。


30 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者であっても、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けない限り被保佐人とならないが、被保佐人となれば、家庭裁判所により保護者として保佐人が付けられる。

30 正しい 被保佐人とは、①精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者で、②家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた者をいう。被保佐人には、家庭裁判所により保護者として保佐人が付けられる。


31  保佐人が被保佐人の同意を得ずに借財又は保証をした場合は取り消すことができるが、元本を領収又は利用にあたり被保佐人の同意を得ていなかったとしても取り消すことはできない。

31 誤り 借財又は保証をすることのほか、元本を領収し、又は利用することも保佐人の同意を要する行為であり、同意を得ずに行えば取り消すことができる。


32 被保佐人が保佐人の同意を得ずに行った不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為は取り消すことができるが、日用品の購入その他日常生活に関する行為であれば、保佐人の同意なしに行った場合でも取り消すことはできない。

32 正しい 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為は保佐人の同意を要する行為であり、同意を得ずに行えば取り消すことができる。日用品の購入その他日常生活に関する行為は、保佐人の同意なしにできる行為であり、同意なしに行った場合でも取り消すことはできない。


33 被保佐人が訴訟行為をなすには、保佐人の同意を要する。

33 正しい 訴訟行為は、保佐人の同意を要する行為にあたる。


34 被保佐人が保佐人の同意なしに行った贈与、和解又は仲裁合意は取り消すことができるが、相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割を保佐人の同意なしに行っても、取り消すことはできない。

34 誤り 贈与、和解又は仲裁合意のほか、相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割も保佐人の同意を要する行為であり、同意なしに行えば取り消すことができる。


35 新築、改築、増築又は大修繕をすることは、保佐人の同意を要する行為にあたらない。

35 誤り 新築、改築、増築又は大修繕をすること、つまりこうした行為を目的とする請負契約を締結するにあたっては保佐人の同意を要し、同意なしに行えば取り消すことができる。


36 被保佐人が保佐人の同意なしに締結した期間5年の土地の賃貸借契約又は期間3年の建物の賃貸借契約は、取り消すことができる。

36 誤り 保佐人の同意を要するのは、土地5年、建物3年を超える期間の賃貸借である。土地5年、建物3年の期間の賃貸借は、土地5年、建物3年を超える期間の賃貸借にあたらない。よって、被保佐人が保佐人の同意を得ずに行った場合でも、取り消すことはできない。


37 被保佐人が自分のために行うにあたり保佐人の同意を要する行為であっても、その行為を被保佐人が制限行為能力者の法定代理人として行うのであれば、保佐人の同意を要しない。

37 誤り 被保佐人が自分のために行うにあたり保佐人の同意を要する行為について、被保佐人が制限行為能力者の法定代理人として行う場合であっても、保佐人の同意を要する。


38 被保佐人が行うにあたり保佐人の同意を要するとされる行為は民法が列挙するものに限られ、これ以外の行為について保佐人の同意を要するものはない。

38 誤り 家庭裁判所は、民法が列挙する保佐人の同意を要するとされる行為以外の行為を被保佐人がする場合であっても、保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ここより、保佐人の同意を要するとされる行為は、民法が列挙するものに限られない。


39 被保佐人が行うにあたり保佐人の同意を要するとされる行為につき本人の利益を害するおそれがないにもかかわらず保佐人が同意を与えないときは、被保佐人は家庭裁判所に保佐人の同意に代わる許可を請求することができる。

39 正しい 保佐人の同意を要するとされる行為につき、保佐人が、本人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしてくれないような場合、家庭裁判所は本人の請求により、家庭裁判所は同意に代わる許可を与えることができる。


40 保佐人の同意を要する行為につき、被保佐人が同意を得ずに行った場合、当該行為は無効である。

40 誤り 被保佐人が、保佐人の同意を得なければならない行為について、同意を得ないでした場合、当該法律行為を取り消すことができる。つまり、有効ではあるが、取り消して無効とすることができる。


41 保佐人は、選任されれば当然に同意権を有するが、代理権は有しない。ただ、一定の者の請求によって、特定の法律行為について代理権を付与する旨の審判があれば、代理権を有する。

41 正しい 保佐人は、当然に同意権を有するが、代理権は当然には有しない。一定の者の請求によって、特定の法律行為について代理権を付与する旨の審判により代理権を有することになる。


42 家庭裁判所が保佐人に代理権を付与する審判をするにあたり、本人の同意が必要となることはない。

42 誤り 家庭裁判所は、本人以外の者の請求により保佐人に代理権を付与する審判をするときは、本人の同意を要する。したがって、代理権を付与する審判をするにあたり、本人の同意が必要となることがある。


43 被補助人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者で、家庭裁判所から補助開始の審判を受けた者をいう。

43 正しい 被補助人とは、①精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者で、②家庭裁判所から補助開始の審判を受けた者である。


44 補助開始の審判の請求は、本人のほか配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官もすることができる。これらの請求により家庭裁判所が補助開始の審判をするには、本人の同意を要しない。

44 誤り 補助開始の審判を請求することができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官である。ただ、本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。


45 被補助人には、家庭裁判所により保護者として補助人が付けられ、被補助人が一定の行為を行うには補助人の同意を要し、同意なしに行った行為は取り消すことができる。

45 正しい 被補助人には、家庭裁判所により保護者として補助人が付けられる。被補助人が、補助人の同意を得なければならない行為について、同意を得ないでした場合は、当該法律行為を取り消すことができる。


46 家庭裁判所は、補助開始の審判をするに際し、一定の者の請求により、被補助人が一定の法律行為をするには補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判により同意を得なければならないものとすることができる行為は、被保佐人において保佐人の同意を得なければならないとされる行為の一部に限られる。

46 正しい 家庭裁判所は、補助開始の審判をするに際し、本人、配偶者、補助人等一定の者の請求により、被補助人が一定の法律行為をするには補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。このとき、補助人の同意が必要となる行為は、保佐人の同意を要する重要な財産行為の一部に限られる。


47 補助人には、同意権は認められるが、代理権が認められることはない。

47 誤り 補助人には、同意権を付与する審判により同意権が認められる。また、代理権を付与する審判により代理権が認められることもある。


48 制限行為能力者が、相手方に行為能力者と信じさせるため詐術を用いた場合であっても、保護者の同意を要する行為につき同意を得ていなかったときは、取り消すことができる。

48 誤り 制限行為能力者が、相手方に行為能力者と信じさせるため詐術を用いて、保護者の同意を要する行為を同意を得ずに行えば、当該行為を取り消すことはできない。


49 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思無能力者であったとき又は未成年者、成年被後見人、被保佐人若しくは被補助人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。

49 誤り 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思無能力者であったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。しかし、意思表示を受けた者が被保佐人又は被補助人であるときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができる。


50 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思無能力者であったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときでも、相手方の法定代理人がその意思表示を知った後は、意思表示をもってその相手方に対抗することができる。相手方が意思能力を回復し、又は行為能力者となりその意思表示を知った後も、同様である。

50 正しい 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思無能力者であったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、相手方の法定代理人がその意思表示を知った後、あるいは相手方が意思能力を回復し、又は行為能力者となりその意思表示を知った後は、この限りでない。


51 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者となった後、その者に対し、1か月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

51 誤り 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が能力を回復した後、本人に対し、1か月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。


52 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、1か月以上の期間を定めて、その権限内の行為について追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。

52 正しい 制限行為能力者の相手方は、制限行為能力者の保護者、すなわち法定代理人、保佐人又は補助人に対し、1か月以上の期間を定めて、その権限内の行為について追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。


53 未成年者又は成年被後見人の相手方は、その未成年者又は成年被後見人が能力を回復する前であっても、その行為について追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者が確答を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

53 誤り 未成年者又は成年被後見人の相手方は、その未成年者又は成年被後見人が能力を回復する前、つまり未だ未成年者又は成年被後見人である間は、これに向けて追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることはできない。催告しても無効であり、確答を発しないときは、その行為を取り消したものとみなすということもない。


54 被保佐人又は被補助人の相手方は、その被保佐人又は被補助人が能力を回復する前であっても、その行為について保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

54 正しい 被保佐人又は被補助人の相手方は、能力回復前の被保佐人又は被補助人に対して、1か月以上の期間を定めて、その期間内に保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告ができる。この場合、催告に対して、期間内に追認を得た旨の通知を発しないときは、確答がないときは、その行為を取り消したものとみなす。


55 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者本人であっても、保護者の同意を得て取り消すことができる。同意を得ずに取り消したときは、当該取消しを取り消すことで、取り消さなかったことにすることができる。

55 誤り 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者本人が取り消すことができる。このとき、保護者の同意なしに取り消すことができる。よって、同意なしに取り消した場合、その取消しをさらに取り消すことができるというものではない。


56 行為能力の制限によって取り消すことができる行為について、法定代理人は取り消すことができるが、保佐人又は補助人は取り消すことができない。

56 誤り 行為能力の制限によって取り消すことができる行為について、制限行為能力者の保護者のうち、法定代理人に限らず、保佐人又は補助人も、取り消すことができる。


57 行為能力の制限によって取り消すことができる行為について追認があれば、以後、当該行為を取り消すことができなくなる。この追認は、家庭裁判所に対して行う。

57 誤り 追認がなされると、もはや取り消すことはできない(取消権の放棄)。この追認は、相手方に対する意思表示によってする。家庭裁判所に対して行うのではない。


58 行為能力の制限によって取り消すことができる行為について、未成年者は成年に達する前であっても、また被保佐人又は被補助人は能力を回復する前であっても、保護者の同意を得ることなく、追認をすることができる。

58 誤り 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければならない。ここから、保護者の同意を得ることなく、追認をすることができるのは、未成年者は成年に達した後、また被保佐人又は被補助人は保佐開始の審判又は補助開始の審判が取り消され能力を回復した後ということになる。それ以前、すなわち未成年者、被保佐人又は被補助人である間は、保護者の同意を得て追認をすることができる。


59 行為能力の制限によって取り消すことができる行為について、取消しの原因となっていた状況が消滅する前、制限行為能力者の保護者は追認をすることができる。

59 正しい 制限行為能力者の保護者が追認をするのは、取消しの原因となっていた状況が消滅する前である。


60  取消しの原因となっていた状況が消滅する前であっても、異議をとどめないで、履行の請求をすれば、追認をしたものとみなされる。

60 誤り 追認をすることができる時以後に、異議をとどめないで、履行の請求をすれば、追認をしたものとみなされる(法定追認)。取消しの原因となっていた状況が消滅する前は、追認をすることができる時以後にはあたらない。よって、取消しの原因となっていた状況が消滅する前に履行の請求をしても、法定追認とならず、追認をしたものとみなされない。


61 取消権は、追認できる時から10年、又は、取り消すことを知った時から20年を経過すると、時効により消滅する。

61 誤り 取消権は、追認できる時から5年、又は、取り消すことのできる行為をした時から20年を経過すると、時効により消滅する。


62 未成年に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見監督人を指定することができる。

62 正しい 未成年後見人を指定することができる者は、遺言で、未成年後見監督人を指定することができる。未成年に対して最後に親権を行う者は、未成年後見人を指定することができる者に該当し、遺言で、未成年後見監督人を指定することができる。


63 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被後見人、その親族若しくは後見人の請求により後見監督人を選任することができるが、職権で選任することはできない。

63 誤り 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被後見人、その親族若しくは後見人の請求により又は職権で、後見監督人を選任することができる。


64 後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、未成年後見監督人及び成年後見監督人になることはできないが、これら以外の者であれば、未成年後見監督人及び成年後見監督人になることができる。

64 誤り 後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、未成年後見監督人及び成年後見監督人になることはできない。これらの者以外の者であっても、未成年後見人の欠格事由とされる①未成年者、②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人も又は補助人、③破産者、④被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族又は⑤行方の知れない者は、未成年後見監督人及び成年後見監督人になることはできない。


65 後見監督人の職務としては、後見人の事務を監督するほか、後見人が欠けた場合に遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること、急迫の事情がある場合に必要な処分をすること、後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表することをあげることができる。

65 正しい 後見監督人の職務は、①後見人の事務を監督、②後見人が欠けた場合に遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること、③急迫の事情がある場合に必要な処分をすること、④後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表することである。


66 後見人が、被後見人に代わって営業又は法定された重要な財産行為をするときは、後見監督人があるときは、その同意を得なければならないが、未成年後見人が営業又は法定された重要な財産行為を未成年者がすることに同意をするときは、未成年後見監督人の同意を得る必要はない。

66 誤り 後見人が、被後見人に代わって営業又は法定された重要な財産行為をするときは、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。また、未成年後見人が営業又は法定された重要な財産行為を未成年者がすることに同意をするときも、未成年後見監督人の同意を得る必要がある。


67 後見人が後見監督人の同意を得る必要があるにもかかわらず、その同意を得ずに行った行為は、後見人は取り消すことができないが、後見監督人又は被後見人は取り消すことができる。

67 誤り 後見人が後見監督人の同意を得る必要がある行為を同意を得ずに行えば、後見人又は被後見人においてこれを取り消すことができる。後見監督人は取り消すことはできない。


68 後見人が被後見人の行為を制限行為能力を理由に取り消すときは、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。

68 誤り 後見人は、被後見人の行為を制限行為能力を理由に取り消すにあたり、後見監督人があるときでも、その同意を得る必要はない。

TOP